【碁盤石山西納庫登山口ルート】アクセス簡単、登りは最短、充実の高原ハイク

碁盤石山の磐座 愛知の山、自然
碁盤石山の磐座

設楽町の納庫と津具にまたがる碁盤石山は古くから修験者が登る信仰の奥山として知られ、山中には天狗伝説が残る碁盤石や富士見岩、七尋岩などといった奇石が点在し見どころとなっている。

また富士見岩や天狗の庭などからの展望がすばらしく、ファミリーでも充実した高原ハイキングを楽しむことができる。

山頂へは碁盤石山の北方にある西納庫登山口もしくは南方の東納庫登山口からアプローチするのが一般的だがどちらの登山口からも比較的短時間で登ることができるため、付近の面ノ木や天狗棚などとルートをつなげて歩いている人も多い。

登山に丸一日費やせる場合ならこうしたルートで長時間歩いてもよいが、遠方からのアプローチとなって現地への到着がおそくなる場合やそれほど時間に余裕がない登山であれば碁盤石山のおいしいところをできるだけ手軽に味わってみたいはずだ。

そんなときは西納庫登山口から登って碁盤石山、天狗の庭と訪れてみるのがおすすめだ。

この記事では碁盤石山を効率よくめいっぱいたのしむためのコツと予備知識を紹介しているのでご自身の計画に取り入れて楽しんでもらえると幸いだ。

富士見岩からの眺望

富士見岩からの眺望

簡単アクセス、西納庫最短ルートで碁盤石山を満喫

西納庫登山口へのアクセス

4月に入り雪も消え、車で気軽に登山口へアクセスすることができる季節になった。

登山口にはトイレがないため、道の駅アグリステーションなぐらで準備を済ませていこう。

西納庫の信号交差点から茶臼山高原道路に入り、6.4kmほど先へ進むと対向車線側の道路沿いにある空き地が駐車スペースと登山口になっている。

道路脇に「碁盤石山西納庫登山口」の古びた道標が立っているので見落とさないように到着したい。

西納庫駐車スペース(奥が登山口)

西納庫駐車スペース(奥が登山口)

碁盤石山登山ルートの近況

碁盤石山へは駐車スペースの奥に「木戸洞峠20分」の道標が立っているので脇から登山道へ入る。

西納庫登山口

西納庫登山口

木戸洞峠

登山道に入ると数分で面ノ木と碁盤石山を結ぶ縦走路のT字分岐にでる。

分岐に傾いた道標が立っていて左が「面ノ木峠」、右が「碁盤石頂上」となっているので右折してまず木戸洞峠をめざす。

碁盤石山登山ルート(出典:国土地理院ウェブサイト・地理院タイルを加工して作成)

碁盤石山登山ルート(出典:国土地理院ウェブサイト・地理院タイルを加工して作成)

15分ほど尾根筋を南下して擬木のステップを下ればじきに木戸洞峠に到着だ。

木戸洞峠

木戸洞峠

碁盤石山山頂へ

碁盤石山の山頂へは峠から15分ほど斜面を登り返せばはや到着できてしまう。

西納庫登山口からはわずか30分ほどで山頂に立つことができて、山頂には標高1189.79mの「木戸ヶ洞」二等三角点がある。

時間的にはごく短時間で登頂できるが、標高は1200m近くあるので雪が消えた頃の時期は風が吹くとまだ寒い。

手軽にハイキングを楽しむことができる山だが季節の服装や防寒装備はしっかり準備してでかけたい。

山頂からの見晴らしはあまり効かないものの北東方面は冬枯れの木立の間から山並みをわずかに確認できるのでからだをずらしながらながめてみるとよい。

この日は萩太郎山を視認できたがその背後に見えるはずの南アルプスの山々までは雲に覆われていて見通せなかった。

碁盤石山山頂

碁盤石山山頂

展望の富士見岩と天狗の庭

碁盤石山の魅力は何と言っても富士見岩や天狗の庭からの眺望であろう。

どちらも開放感のあるひらけた展望地になっているので青空ランチの場所には困らない。

碁盤石山山頂からさらに南東方向へ広い尾根伝いに富士見岩へ向かう。

擬木のステップを下って水場脇を通り過ぎると歩きよい尾根道になって老朽化したベンチのある休憩ポイントが現れる。

さらに進んで今度は擬木のステップをのぼると登山道が台地状にひらけてここにも古い休憩ベンチが残っているが、腰を下ろす気にはならない荒れようだ。

東面の立木を見るとあちこちに青やピンクのテープが巻いてあって惑わされるが、登山ルートはこの台地状のピークで南西方向に曲がっているので東の尾根筋には踏み込まずに南西方向へ踏み跡を辿る。

ときどき風に乗ってあせびの甘い香りが漂ってくる。

あせびの木によっては花の最盛期はすこし過ぎたようだが白や薄紅色の小さな花がまだまだ目を楽しませてくれて、ぶなの新緑や花の季節も待ち遠しい。

山頂から20分ほどで富士見岩に到着し、三ツ瀬明神山、平山明神山、大鈴山、鹿島山、宇連山とすばらしいパノラマの展望が眼前にひろがる。

青い濃淡の山並みの影が遠近左右に幾重にも連なっていて美しく見飽きない。

これで富士山があればと東方へ目をこらしてみたがあたりには雲が少しかかっていてわからなかった。

ちょっぴり残念。

富士見岩

富士見岩

風が少し冷たいのですぐ先の天狗の庭まで移動して大きな石を背にできる南垂れのベンチで青空ランチにしてみた。

天狗の庭も富士見岩に劣らず眺望がよく、古代の修験者には怒られそうだが筆者などはお弁当を食べにくるための山とでも呼びたくなる。

つつじの季節が待ち遠しい。

天狗の庭で青空ランチ

天狗の庭で青空ランチ

碁盤石と碁盤石山の磐座(設楽町指定史跡)

さて碁盤石山だが山中には碁盤石や碁盤石山の磐座など、見どころの巨石が点在している。

町指定史跡の磐座は岩のてっぺんに浮き彫りの石像が納庫の集落を見下ろすかのように安置されている聖石だ。

また山名の由来となっている碁盤石も少し離れて地面にでんとした体で埋まっている。

石の説明板は風雪にさらされてほとんど読めなくなってしまっているが、天狗がひっくり返したという碁盤石は底面にきっと碁盤の目があって、いつまでもずっと消えることはないはずだ。

しかし碁盤石の由来については一説に磐座としている岩石の方が本当の碁盤石という言い伝えもあるというから面白いではないか。

碁盤石をひっくり返せばどちらが本当の碁盤石か白黒の決着がつくが、そんな野暮なことは誰も望むまい。

碁盤石

碁盤石

天狗の羽ばたいていた庭を夢想しながらゆっくりとお昼を楽しんだら七尋岩まで足をのばしてみよう。

七尋岩はおんな岩。おとこ岩の「へのこ岩」はどこにある?

西納庫登山口から登山してきた場合は天狗の庭から七尋岩まで散策して往路をもどれば碁盤石山のおいしいところは大方楽しめたと思うかもしれない。

しかし七尋岩はおんな岩とも呼ばれおとこ岩と対をなしている巨石だ。

案外知られていないようで碁盤石山を訪れてもおとこ岩の「へのこ岩」まで訪れている人は少ないようだ。

せっかく七尋岩を見たのであればへのこ岩も見なければバランスがとれないではないか。

ぜひへのこ岩も訪れてみるのがおすすめだ。

なるほどそういうことか!ときっと納得、感嘆すること請け合いだ。

まず七尋岩だが天狗の庭から道標にしたがって胸突き坂方面へ10分ほど登山道を下れば訪れることができる。

天狗の庭から下り始めるとすぐ先に佐倉様とよばれる小さな「下総国佐倉神社」の石柱が岩石の間に建っている。

下から登ってくるときは目につくが下りで通るときは見過ごしやすい。

江戸時代の義民佐倉惣五郎を顕彰してまつったものといわれるがなぜここにまつられているのかはよくわかっていないようだ。

下総国佐倉神社

下総国佐倉神社

佐倉様を通り過ぎ、あせびのトンネルを抜け10分ほどで七尋岩に到着する。

七尋岩に到着したらさっそく両手をひろげて本当に七尋あるかどうか確かめてみよう。

筆者の採寸ではもう少しありそうだ。

七尋岩

七尋岩

七尋岩の上にあがってながめてみると、中央部が入り江状に湾曲し全体的に丸みを帯びた凹形状になっていて岩の表面もなだらかでたしかに女性的な印象だ。

七尋岩

七尋岩

ではへのこ岩はどうか、確認してみよう。

へのこ岩へ行くには七尋岩の上から眼下に見える林道に下りて北へ辿る。

七尋岩から登山道の続きを胸突き坂方面へ少し下れば林道におり立つことができて胸突き坂方面への下山口と交差する分岐になっている。

この林道は東納庫登山口から笹暮峠へむかう林道から枝分かれしている碁盤石山線で付近に駐車できるスペースもあるが一般車両は立ち入らないように要請されている道なので東納庫登山口方面から入山するときにはここまで車で進入することは控えた方がよい。

さて、林道に下り立ったところには道標と中部電力の「豊根幹線」の黄色い標識が立っているので幹線No.33の方向をめざして林道を北上する。

登山道と林道の出合(左の林道を北上して豊根幹線No.33をめざす)

登山道と林道の出合(左の林道を北上して豊根幹線No.33をめざす)

さきほど立ち寄った七尋岩の下を通って10分ほど林道を歩き幹線No.33の標識が立っているところから左手に作業道を下りればあせびの木の後ろに巨大な「へのこ岩」が現れる。

へのこ岩へ(左へ)

へのこ岩へ(左へ)

作業道は落ち葉が堆積していてすべりやすいので足元に注意して下り、へのこ岩を下から見上げてみよう。

七尋岩と比較したサイズ感もぴったりで猛々しさはまさにおとこ岩。

いつの時代からおんな岩、おとこ岩と呼ばれているのか知らないが古代碁盤石山に登っていた禁欲的な山岳修験者たちが七尋岩やへのこ岩の存在を知らなかったはずはなかろう。

平安時代の修験者たちが山中で超人的な修行に励んでいた姿が目に浮かんでくる。

へのこ岩

へのこ岩

付則:東納庫登山口周辺の近況

今回は西納庫登山口から南へ歩き碁盤石山、富士見岩、天狗の庭、七尋岩、へのこ岩と案内してみたが、東納庫登山口から北上して碁盤石山山頂をめざすことも可能だ。

東納庫登山口から登山するメリットは登山口に水場があること、立岩、蛇岩、不動滝といった見どころも楽しめ胸突き坂の急登も味わえることだろう。

西納庫登山口から登山した場合でも七尋岩やへのこ岩を訪れたのちに往路を戻ってもよいが、時間がゆるせば東納庫登山口まで下ってみるとこれらの見どころを興味深く楽しめる。

合わせて東納庫登山口周辺の駐車スペースの場所も確認しておけば再訪するときの役にも立つだろう。

以下に東納庫登山口周辺の近況を紹介しているので参考にしていただきたい。

東納庫登山口周辺図(出典:国土地理院ウェブサイト・地理院タイルを加工して作成)

東納庫登山口周辺図(出典:国土地理院ウェブサイト・地理院タイルを加工して作成)

東納庫登山口へのアクセス

東納庫登山口に車でアプローチするには国道257号を南下するなら名倉郵便局を過ぎた先で町道326号へ左折して入り不動滝をめざすと比較的スムースに到着できる。

大栗の集落から登山口までの間の林道は落ち枝が多いので慎重な運転が必要だが道幅は比較的広い。

東納庫登山口の駐車スペース

登山口から林道を東に150mほど進んだところに2台分ほどの駐車スペースがある。

東納庫登山口の駐車スペース

東納庫登山口の駐車スペース

さらにその先を笹暮峠方面へ進むと林道碁盤石山線が左に分岐する手前にも10台近く駐車できる空き地がある。

碁盤石山線手前駐車スペース

碁盤石山線手前駐車スペース

東納庫登山口ルートの見どころと近況

立石で運試し

東納庫登山口に近い方の駐車スペースと登山口の中間地点ほどの沢筋に立石と呼ばれる大岩が直立している。

岩のてっぺんに小石がいくつか乗っかっているがこれは通行人が投げ上げたものでうまくてっぺんに乗れば御利益があるというのでひとつやってみると楽しい。

チャレンジはお一人様一回限りですよ。

立石(てっぺんに小石が乗っかっている)

立石(てっぺんに小石が乗っかっている)

蛇岩(蛇石)

蛇岩、蛇石ともよばれ蛇が巻きついたかのような岩肌が見られ大岩の上には小さな岩石がひとつ乗っかっている。

設楽郡史に「昔、大蛇がからみついた時に出来たという割れ目があり、その顔はお姫様の顔だという」とあり、小さな岩石が大蛇の頭を表し層状に見える岩肌は蛇が絡みついたときにできた痕跡らしい。

蛇岩(蛇石)

蛇岩(蛇石)

不動滝

不動滝は二条の滝で構成されており夫婦滝とも呼ばれている。

ここでも見どころはカップルなのである。

二つの滝の間にはしめ縄が張られ不動像が安置されている。

不動滝は蛇岩から林道を数分下るとガードレールの切れ間に道標が立っているのでそこから滝下におりることができる。

不動滝

不動滝

東納庫登山道入口と胸突き坂周辺

東納庫登山口から前出七尋岩直下の林道出合までは胸突き坂を経由して30分ほどあれば到着出来る。

東納庫登山口

東納庫登山口

登山口にコース図が掲載されていてルートは登山口から胸突き坂へ向かって北東方向へ一直線に続いているが、実際の現ルートはコース図よりもっと西寄りでくの字状に曲がって通っている。

また胸突き坂を上から下りてきた場合は坂下で西尾根方向に誤って踏み入りやすいので留意しておくとよい。

胸突き坂の坂下には道標が立っているので矢印と踏み跡をよく確認してから下山しよう。

胸突き坂道標(正面は西尾根に続き左が東納庫登山口)

胸突き坂道標(正面は西尾根に続き左が東納庫登山口)

高原の山はこれからますます爽やかな新緑、花のシーズンが到来だ。

それでは安心、安全登山でいってらっしゃい!

天狗伝説についてはこちらの記事でも紹介しています。

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管理人山行日 2025年4月7日
西納庫登山口発 11:25
西納庫登山口戻り 15:45

 

 

 

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