天気がいい日をねらって歩く青空山行がモットーの身としては、最近とんと出かけられていないことを全部「長雨」のせいにしてしまっている。
本当は歳のせいで一週間も歩かないと体力がすぐに落ちてしまい体が重いためであることは自分が一番よく知っている。
早く出かけないと・・・。
つぎに登る山はとっくに決めてある。
蒲郡市豊岡町の「砥神山」。
三河湾を見下ろす標高252mの低山は砥神神社の奥宮が鎮座する信仰の山で地元では三河富士、三谷富士ともよばれている。
以前、御堂山から砥神山経由で下山してきたときにいったい奥宮の階段は何段あるのだろうと気になっていた。
登山口と奥宮をほぼ一直線に結んでいる長大な石段である。
こんなにまっすぐ長くつづいている石段はちょっと他にはないだろう。
帰宅してネットや山行記録などを調べてみてもハッキリ何段あると紹介している記事は見当たらずますます気になっていた。
もう自分で数えてみるしかない。
明日は久しぶりに晴れの天気予報。
しばらく運動をさぼっていた自分にペナルティーを科して、ザックの荷物は”増し増し”の歩荷スタイルで出かけてみよう。
・手軽に三河湾の景観と青空ランチをたのしみたいハイキング初級者の方
・冬山山行まえに身近な山の階段で思いっきり重たいザックをかついで足慣らしをしておきたい元気なハイカー
・信仰の山の素顔をちょっぴり掘り下げたい好奇心旺盛なハイカー

砥神山西峰から三河大島を望む
歩荷トレに好適!?砥神神社の長~い階段は何段ある?
愛知県の山にある長い階段といえば、源頼朝の寄進と伝わる鳳来寺山表参道の石段が思い浮かぶ。
あちらは誰が数えたか知らないが、さまざまな資料や記事で大抵1425段と紹介されているのでおそらくそうなのであろう。
対して砥神山砥神神社奥宮の石段は段数では鳳来寺山に負けるだろうが、先が見えないほど一直線につづいている有様は稀有である。
それに砥神山は三河湾の眺望がすばらしく街中からのアクセスも容易でいつでも手軽に出かけられるところがいい。
季節がすすみ、これから冬場にかけての山行ではどうしても装備が増えてザックの重量が重たくなってくるころである。
そんなとき、いきなり重たい荷物をかついで息があがってしまう前にこうした低山で自分がアクティブに歩けるザックの重量を確認しておけばきっと次の山行の安心安全にもつながるはずだ。
長~い石段は自らの体力を試しておくにはうってつけだ。
とよおか湖公園から奥宮を参拝し砥神山、御堂山を周回
ハイキングの起点はとよおか湖公園の駐車場である。
駐車場の目の前に長い滑り台もある広い公園なので元気な子連れファミリーならひとしきり子供と遊んでからハイキングに出かけてもよい。

とよおか湖公園
青空ランチスポット満載の砥神山周辺。でも玉に瑕は?
今回は、とよおか湖公園を出発して湖を左回りに周回して近況を確認してみる。
砥神山周辺は御堂山や原山など三河湾の景観を間近に得られる低山が登山道で縦横に結ばれていて砥神神社奥宮や展望台、さがらの森や御堂山観音堂跡、弘法山や山岳信仰の霊神碑などなどハイキングの見どころや休憩スポットも多い。
青空ランチのお弁当を広げる場所には事欠かないので自身の体力や持ち時間、目的に合わせてハイキングプランを自由に検討できる。
玉に瑕なのは、この時期の山中は女郎蜘蛛の活動が活発になっていることだろうか。
朝一番の登山道は蜘蛛の巣がふいに顔にまとわりついて閉口するが、こちらがおじゃましている方なので拾った枯れ枝でフリフリと払い除けながら通らせてもらう。
また、蚊よけ、防虫スプレーなどハイキングの基本的な準備は怠らないようにしたいところだ。

蜘蛛の巣がいっぱい
砥神神社奥宮の階段は何段ある?
とよおか湖公園の駐車場を出て左手にみかん畑を見ながら車道を上がる。
3分ほどでカーブミラーのあるY字分岐に「とかみ山登山口この先450m→」と標識があるので右折して先へ進めば10分ほどで砥神山登山口に到着する。
獣害除けの柵を開閉して登山道を進むといよいよ目的の長い階段が見えてくる。
階段の横にはモノレールが設置されていて青いビニルシートで養生してある。

長~い石段のはじまり
歩荷トレーニングを兼ねて来たのでモノレールで登れるのかなどと思い浮かべてはいけない。
ザックには今回は使わない冬山装備や重し代わりのペットボトルの水をしこたま押し込んである。
階段の数を数えるカウンターを持ってくるのをうっかり忘れてしまったので左手にメモ帳、右手にボールペンを持って一、二、三と数えながら登り、十になったら立ち止まってメモ帳に正の字を一画づつ書いていくことにした。
我ながら子供じみたことをしているなと思いながらも性分なのだから仕方がない。
260段目で「くぐり岩」まできた。
歩荷トレは、はや汗だくである。
汗をぬぐい、ふたたび集中して10段づつ刻みながら345段で賽銭箱のある奥宮の拝殿前に立った。
あと一段上らせてもらいお参りをする。
最後の一段は数えなくてもよいだろう。
するとモノレール横から数えて345段だ。
思ったよりも少なかったが数え間違いということもあるし・・・。
すぐに踵を返して今度は下りながら数えてみる。
モノレールまで戻るとやっぱり345段!
よし、あと一回上り返して3回連続でおなじ数なら間違いないだろう。
3回目を80段まで上がってふと石段を見上げると石段の奥には朝陽が輝いていた。
感激の光景にもう導かれるがごとく息を切らして上り、3回目も345段を数えた。
ちなみに砥神神社の御祭神は伊弉諾尊と太陽神天照大神の孫瓊瓊杵尊の妻、木花咲耶姫命である。
そして木花咲耶姫命はもちろん山の神、大山祇命の娘。
自分の中の気がかりはこんな形で納得の結論が出せて、幸せいっぱいになった。

まるで天上の奥宮へつづく石段
二度目の奥宮に到着して右手の斜面を見上げてみる。
狛犬とさらにその上部には山岳信仰修験道の開祖、行者様が安置されている。
行者様もきっと微笑んで見ていてくれたはずと勝手に想像し砥神山山頂へ向かう。

奥宮の狛犬
砥神山の西峰と東峰
山岳信仰の砥神山は西峰と東峰からなる双耳峰だ。
それぞれのピークから三河湾の眺望がたのしめる。
砥神神社の奥宮からはわずかの距離で登拝できる。

砥神神社奥宮脇を抜け砥神山へ向かう
奥宮の脇を通り抜け裏手に回るとロープの張ってあるスリル坂となっている。
足元に注意して慎重にロープ場を登ると西峰に上がって三河湾の景色が広がる(冒頭写真)。
スカイブルーの三河湾の景色をひとしきりたのしんで次は東峰へ縦走する。
すぐにさがらの森へ向かう道が左へ分岐するがこの分岐は直進して東峰を踏んでからさがらの森へ周回できる。
東峰山頂も朝日輝く三河湾の景色が美しい。

三河湾が眩しい東峰からの景色
現在、東峰山頂には奈良大峰山奥駆修行の拠点、護持院である吉野の喜蔵院と三河七福講中の修験信仰を伝える行者像が奉納、建立されている。
爽快!二つの三河湾展望所と開放感あふれるさがらの森
砥神山東峰を踏んでその先へすこし下るとベンチのあるT字分岐になっている。
分岐左方向がさがらの森だ。
途中、夕陽ヶ丘展望台と潮見展望台に立ち寄っていこう。
ふたつの展望台ではそれぞれ見わたす方向が変わるので三河湾の景色を西に東にと堪能できる。

潮見展望台で一休み
展望台とさがらの森周辺をハイキングする上で注意しておきたい点は登山道が何本もあることだ。
初見の場合は進むべき道がややわかりづらいかもしれない。
地形図や登山アプリなどを準備して活用すれば問題なく通過できるだろう。
開放感あふれるさがらの森キャンプ場にはトイレはもちろん、日なたも日陰もベンチもあって思い思いに青空ランチをたのしむことができる。

さがらの森
御堂山とまだある展望台
さがらの森でゆっくりと休憩したら御堂山を経由してとよおか湖へ下山する。
御堂山を手軽に周回するなら、さがらの森からヒメハルロードに下りた地点で御堂山遊歩道にはいればよい。

御堂山遊歩道
御堂山の山頂は見通しが効かないが、尾根伝いの登山道は下りがメインの木漏れ日の稜線歩きとなるので快適なハイキングが楽しめる。
標高306m地点にある国見峠へ至るY字分岐の少し手前には小さな展望台があってとよおか湖を眼下に見下ろし、渥美半島や三河大島、西浦半島や蒲郡市街地の様子までよく見渡せる。
ここで一休みして最後の展望をたのしんでいきたい。

展望台から三河大島を望む
眼下にまるでミニチュア模型かのように東西に走る新幹線の車輌を何度も見送って名残惜しく展望台を発てば一時間とかからずとよおか湖までもどってくる。
よくばりハイクなら:弘法山詣でと御堂山山岳信仰の道へ
砥神山と御堂山の周回ハイキングだけでは歩き足らないという方であれば、さがらの森へ周回する前に途中で原山や弘法山へ足をのばしてみるのも一興だ。
また御堂山に登る際にも観音堂の跡地から山岳信仰の霊神碑や石像が立ち並ぶ登山道を辿れば山域の歴史や魅力をたっぷりとたのしめる。
原山経由で金剛寺と弘法山新四国八十八ケ所霊場めぐり
砥神山東峰から下った前出のベンチがある分岐でさがらの森とは反対方向の南へ右折すると循環式トイレの設置された登山口休憩所に至る。
そこからさらに南下して原山のピークに出るとはるか弘法山に子安弘法大師像が望める。
今回はがんばって歩荷でお大師様まで歩いてみる。

原山から子安弘法大師像を望む
最初に三谷弘法山金剛寺へ赴く。
5年の歳月をかけて築いたというマニ棟は必見。
マニ車をつぎつぎと回して安全登山の願掛けをしてみる。

三谷弘法山金剛寺
つぎに子安弘法大師の巨像が建つ弘法山へと向かう。
金剛寺のすぐ前にある展望台に上がると巨大な子安弘法大師像が間近に姿を現す。

子安弘法大師が姿を現した
弘法山ではお大師様の足元をぐるりと回る新四国八十八ヶ所霊場めぐりを体験できる。
お大師様の右足側の舗装路脇に第一番がありここから時計回りに生目神社側へと石仏が並んでいる。
三十五番まで数えたその先に石段があってこれを上がると両側に石仏が並んでいるが右側の端が三十六番である。
そこから今度は左回りに回ると六十六番で踵を返す形となりさきほどの階段上まで戻ったところで八十八番となり終了だ。
尚、お大師様の背後に弘法山「三谷村」三等三角点があるのでハイカーならこれも確認しておきたい。

お大師様の背後に「三谷村」三等三角点(標高96.61m)がある
観音堂跡から山岳信仰の道を辿って御堂山へ
金剛寺とお大師様の御利益をたくさんいただいた気になったが秋の好日の歩荷トレは汗だくの参詣となってしまった。
日陰のベンチで今しばらく休憩させてもらってから往路を戻ってさがらの森をめざす。
さがらの森でようやく青空ランチを済ませてヒメハルロードの車道をあるいて観音堂跡地へ向かう。
地形図では「観音寺」と記載されたままであるがかつてのお堂は取り壊されている。
束石の残る跡地には寛永通宝らしき古銭が地表に半分埋まっていたりして往時の参拝者の姿が偲ばれて興味深い。
そばの所蔵庫に安置され三十三年ごとに開帳される秘仏木造十一面観音立像は令和6年の蒲郡市政70周年記念企画展で展示されたばかりなので筆者などはもうそのお姿を目にすることはなさそうである。

観音堂跡地
手水舎があって水は流れているが、すぐ横にあるトイレは現在使用できないのでハイカーは注意が必要だ。
御堂山への登山道は跡地脇に並んでいる二基の霊神碑横から始まっている。

御堂山登山口
碑は御嶽山信仰の山岳信仰組織平井講によるもので御堂山山頂までの間の登山道にそって霊神碑や神像がいくつも建立されている。
霊神碑や神像は、他の講によるものも含めて十以上数え、御堂山直下の御嶽三神までつづく。
一つひとつ辿って、信仰の歴史にふれながら登山道を登れば心も洗われるようだ。

御嶽三神(小彦名命、国常立命、大己貴命)
今回は、歩荷スタイルで砥神山、弘法山、御堂山と信仰の山を歩いてみた。
この山域は手軽にハイキングや散歩をするもよし、歩荷トレーニングするもよし、寺社詣でや子供と公園あそびなどなどいろいろな楽しみ方、歩き方ができる。
お好きなスタイルであなた自身の砥神山、御堂山を探しにお出かけしてみてはいかがでしょうか。
| 管理人山行日 | 2026年10月8日 |
| とよおか湖駐車場発 | 7:48 |
| とよおか湖駐車場戻り | 16:10 |
