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5月に「おばれ岩」が傾いたとのニュースに接し、気になっていた三重県の御在所岳。
巨大な岩がもう一つの巨石に覆いかぶさっているかのようなおばれ岩は御在所岳登山道の中でも人気の「中登山道」にあるが、崩落する危険があるとして登山者は当面他の登山道に迂回するようにPRされている。
若い頃、せっせとトレーニングに通った御在所岳だがもう随分と長い間訪れていない。
そうだ、久しぶりにおとなり山(さん)の近況を確認しにでかけてみよう。
もちろん、今度はトレーニングではなく湯の山温泉とセットにしてゆったり旅で。

かもしか大橋から望む御在所岳と蒼滝
・ロープウエイを活用した御在所岳裏登山道コースの見どころと近況を徹底解説
・アクセス、駐車場、トイレ、温泉情報など安心安全快適をめざす登山のコツは?
・国見岳周辺の奇岩、巨石、展望スポットをめぐるあおぞらランチ流の歩き方
裏登山道で御在所岳へ登山する
御在所岳に登る代表的なルートには中登山道のほか、表道、裏道、一の谷新道、武平峠道などの登山ルートがある。
今回は御在所ロープウエイの湯の山温泉駅を起点にして裏登山道で国見峠を経由し御在所岳山頂をめざしてみよう。
下りにはロープウエイを利用することにして下山後にゆっくりと温泉を楽しみたい。
ロープウエイで下山する分、国見峠に上がったら国見岳とその周辺に点在する奇岩に寄り道しても十分行動時間に余裕はあるだろう。

裏登山道(出典:国土地理院ウェブサイト・地理院タイルを加工して作成)
湯の山温泉駅へのアプローチ
御在所ロープウエイ湯の山温泉駅に車でアプローチする場合は一般の観光客も多数訪れるため、渋滞や駐車場の確保にはあらかじめ留意してでかける必要がある。
特に秋の行楽シーズンは交通規制が敷かれる場合もあるため要注意で予定した時間に車を駐車できないと登山計画に大きな支障がでてしまう。
裏登山道を選択するなら駐車場は国道477号(旧鈴鹿スカイライン)沿いにも無料駐車場が点在しているが、今回はロープウエイで下山する計画なので御在所ロープウエイ駐車場に駐車した方が便利だ。
同駐車場は有料(筆者利用時、前払いで1000円)だが24時間入庫できて早朝から行動する登山者にとってはありがたい駐車場だ。
駐車場前には公衆トイレもあるがロープウエイ営業開始時間の午前9時前までは入口のシャッターが下りている。
御在所ロープウエイに確認したところ、シャッターは施錠されておらず登山などで朝早く利用する場合はシャッターを開けて使用してもよいとのことであった。
またロープウエイの湯の山温泉駅周辺には温泉宿が多数あるため、滞在して登山を楽しむ計画であればチェックイン前後に駐車場を利用させてくれたり、登山口への送迎サービスなどを行っている宿もあるので検討してみるのもよい。
登山において駐車場とトイレの確認は本当に大切だ。
裏登山道の登山口
裏登山道の登山口へはロープウエイの改札へ向かって駅舎の外壁沿いに奥まで進むと消火栓脇から東海自然歩道の遊歩道が下りているのでこれにはいればよい。
一旦舗装路に出たすぐ先で石段脇に「御在所岳裏登山道一合目」の標識が立てられている。

裏登山道登山口
「蒼滝」と必須の防虫対策
まず石段を上って裏登山道にはいり、見どころの一つである「蒼滝」をめざす。
不動尊を過ぎた先で蒼滝に下りる道が右へ分岐している。
歩きはじめる前に駐車場で防虫スプレーをたっぷりとスプレーしてきたが「ブヨ」が濃く、顔回りにまとわりついてくる。
観光気分で肌の露出が多い軽装ででかけると悲惨なことになりそうだ。
持参してきたハッカ水を頭と顔回りにスプレーしてやると随分とマシになった。
ハッカ水はヒルや防虫対策に重宝するので夏場は必携品にしている。
蒼滝を訪れる場合は十分防虫対策しておきたい。

蒼滝
落差50mの蒼滝は見応えがあるが、登山道を登り返す頃にはすでに自分の額にも滝の汗だ。
国道477号の旧鈴鹿スカイライン、「蒼滝大橋」をくぐるあたりまで進んでこのままブヨを引き連れながら木陰の川沿いをゆくか、一旦日の当たる車道に上がるか迷ったが車道に上がることにした。

蒼滝大橋横裏道登山口
日なたに出るとさすがにブヨはいなくなった。
蒼滝大橋の両端には無料の駐車スペースがあり登山者にはよく利用されていて、橋のたもとには裏道登山口の道標が立っている。
橋の西側に3台、東側の駐車スペースには10台ほど駐車することができる。
裏登山道を往復する計画ならここを拠点としてもよいがトイレはない。
日向小屋と藤内小屋を経由して藤内壁出合へ
三滝川右岸を日向小屋前まで歩く。
格子型の砂防えん堤と高台に再建された日向小屋が見えてきた。
巨大なえん堤と青空の下に巨石が転がる河原の風景はとても静かだが、それゆえかえってこの地に発生した土砂災害の恐ろしさが感じられる情景になっている。

日向小屋前にて
えん堤の下をくぐり、藤内小屋をめざす。
じきに七の渡しで川を渡り、四の渡しでふたたび流れを渡り返す。
藤内小屋までは地味な登り道がつづき、もう汗だくだ。
こんなに遠かったかなあと昔を思い出しながら歩いていると小さな丸木橋で小沢を渡り、ようやく藤内小屋に到着した。

藤内小屋
小屋横にあるテスト岩にも久しぶりと手を触れてご挨拶。
チップ制のトイレもあり、流水も引かれていてありがたい。
ひとまず一休み。
しばらくベンチに腰掛けていても誰も上がって来ず、一休みは15分になってしまった。
それでもゆっくりと腰を上げて引きつづき裏登山道を進み、クライマーの聖地となっている藤内壁への分岐点をめざす。
水場を過ぎた先で藤内壁出合に到着する。

藤内壁分岐
もちろん今回は岩壁を登るつもりではないけれど、昔よく通った前尾根の様子を見に行くのが今回の楽しみのひとつ。
取り付きのP7にご挨拶するため大岩壁を遠望しながら沢へとはいる。
アイゼンの爪痕が残る「テスト岩」を目視できるようになると懐かしさがこみ上げてきた。
お~い、来たよと声をかけてP7の岩肌にタッチ。

前尾根取り付き
しばらく立ち休憩しながら見上げていても全く飽きないが、また来るよと約束にならないことばをかけて出合にもどることにする。
ひとりで沢をおりてきたため、出合で休憩されていた二人組に道に迷ったの?と勘違いされてしまった。
一般登山道を外れると岩登りせずとも転倒、スリップ、落石などリスクは大きな口をあけて潜んでいる。
無用には立ち入らない方が安全だ。
国見峠から国見岳と奇岩、巨石周遊
裏登山道にもどり国見峠をめざす。
藤内壁の出合は5合目(770m)から数分ほど歩いた上部にあって、この先6合目(920m)、7合目(1025m)の標識に励まされながら高度を稼いでゆき、8合目(1090m)が御在所岳と国見岳を分ける国見峠になっている。
それほどの急登ではないものの、地味な登り道がずっとつづく。
二度ほど立ち休憩を入れて、汗だくになってようやく国見峠に到着した。

国見峠
暑さには参ってしまうが木陰に入ると風は涼しく、しばらくクールダウン。
まだ11時前だ。
国見岳を往復してもロープウエイで下山すれば夕方にもならないうちに下りられる。
国見岳と周辺の奇岩をめぐって「天狗岩」、「ゆるぎ岩」も見ておきたい。
ナマズ岩から周遊
奇岩周遊のひとつめは「ナマズ岩」。
峠から北へ歩き、国見尾根分岐に出る手前に現れる。
少し痩せていてもう少し大きくなってね、と声をかけたくなるナマズ岩だ。

ナマズ岩
石門
国見尾根分岐にでて北西に進むと国見岳山頂に至る直前に「石門」への道標がある。
石門はまるで誰かが大石を積んだかのよう。
この石も御在所岳名物の「地蔵岩」とともに落ちそうにない。
見つめているとどうしてもくぐってみたくなる。
受験生におすすめ、通っておけば絶対落ちない合格必勝の門。

石門
国見岳山頂とマグロ岩
国見岳山頂は石門からすぐだ。
道標は林の中にあるが、眼前の岩の上に登れば360度の展望がひろがる。

国見岳山頂
さらに山頂の少し北側に「マグロ岩」と呼ばれている岩場があってこちらも北方、東方の展望がよく、木陰も確保できるので青空ランチにするにはぴったりだ。
今回はここでゆっくりとお昼にする。
訪れる人もなく展望を独り占めのランチタイムになった。

マグロ岩
桃岩
国見岳山頂から西へ根の平峠方面に登山道を少し下ると「桃岩」へつづく踏み跡がある。
なんで君だけここに?という感じで巨石が一つ、で~んと座っている。

桃岩
登れるかな?天狗岩とゆるぎ岩
「天狗岩」と「ゆるぎ岩」は奇岩探訪のハイライトだ。
行くには国見尾根分岐から国見尾根を15分ほど下らなければならない。
帰りが登り返しとなるので少し躊躇するがここまで来たらやはり行きたい岩だ。
ゆっくり下って、はじめに天狗岩に到着する。
あの上まで登りたい、怖い、登れない、登れなくてもいい、色々な感情がせめぎ合い結局、登りません!

天狗岩
天狗岩は横から見る姿も雄々しくて獅子が身構えているかのようだ。

天狗岩の横顔
つぎは体重をかけると動くという「ゆるぎ岩」。
あんな岩の先っぽでギッコンバッタンできるはずもなく、眺めるだけにして退散。

ゆるぎ岩
ハンバーガー岩(ゴジラ岩)※スズメバチに注意!
国見尾根を20分ほど登り返し、さらに往路を下って国見峠までもどる。
予想したとおり天狗岩、ゆるぎ岩からの登り返しがきつかった。
午前中に休憩したのと同じ場所でふたたびクールダウンして本日最後の奇岩、「ゴジラ岩」へ。
ゴジラ岩は国見峠の道標から愛知川方面へ少し歩いたところにある。
ゴジラ岩も今後の成長?に期待したいゆるキャラ具合だがスズメバチがいるので要注意。

ゴジラ岩
御在所岳山頂からスキーリフトで山上公園駅へ
ゴジラ岩から御在所岳の山頂までは最後の登りだ。
途中で大きなシカの成獣2頭に出くわし、目が合うと一目散に林の中へ逃げ去ってゆき遠くからじっとこちらを見つめている。
御在所岳ではシカがカモシカを追いやって繁殖し過ぎていると言われて久しいが冬期には雪も積もる山である。
付近には何頭ぐらい生息しているのだろう。
かつて山頂には日本カモシカセンターというカモシカ専門の動物園があったことを知らない人も多いのではないだろうか。
カモシカほど寒さに強くはないだろうに山頂付近までニホンジカの野生動物園になってしまうのも困りものだ。
スキー場付近にはフンもあちこちに散らばっているので足元に注意しながらリフト乗り場をめざして登ってゆく。
すこし雨に降られながらも峠から25分ほどかかってようやく御在所岳山頂に到着。

御在所岳頂上
「望湖台」に立ち寄ってみるも残念ながら曇っていて見通しはあまり効かない。
琵琶湖の景色はまた今度来るときのお楽しみにとっておこう。
一服してスキーリフトでロープウエイの山上公園駅に向かう頃には晴れ間がもどってきた。

スキーリフトで山上公園駅へ向かう
スキーリフトは一旦鞍部に下って山上公園駅まで上り返してくれる。
疲労したからだにはリフトの振動は心地よいマッサージとはならず背中のザックがただただ重たく感じられてリフトにしがみついてしまう。
昔はリフトやロープウエイなど乗ったことはなかったなあと思いながらも歩いて下山する気力までは残っていない。
さあロープウエイで下山!
ロープウエイで楽々下山、アクアイグニス片岡温泉へ
山上公園駅でチケットを購入しロープウエイの改札に向かう。
改札の前に混雑はなく観光客数名が乗車を待って並んでいて係の人が一組づつ案内してロープウエイに乗せてくれる。
天空からの見晴らしを堪能しつつ15分ほどで楽々下山してしまった。
紅葉の時期はこれから。
これは近いうちに再訪せねばなるまい。

ロープウェイで下山
今回は下山後のおたのしみにアクアイグニス片岡温泉に立ち寄ってみる。
アクアイグニスは「癒やし」と「食」をテーマにした複合温泉リゾート施設で宿泊も日帰り温泉も楽しめる。
片岡温泉は100%源泉掛け流しでかけ湯からシャワーまで贅沢にかけ流している。
日帰り温泉は無休で24時まで営業しており平日は600円と格安で利用できる。
お湯はちょっと熱めで短い時間つかっているだけで登山の疲れを癒やしてくれる。
あらかじめ下山にロープウエイを使うことを決めておくと登山計画はとっても余裕あるものになって登山と温泉の両方が楽しめるのでおすすめだ。

アクアイグニス片岡温泉
食事はイタリアン、和食レストラン、カウンター割烹、BBQと楽しめスイーツも秀逸。
今回の登山といで湯旅の締めくくりは賛否両論の和食レストラン「笠庵」で定食をチョイス。
肉厚のアジフライはホクホクサクサクで美味しくいただいた。
お味噌汁もおかわり付きで提供してくれる。

「笠庵」にて
またアクアイグニスからは湯の山温泉駅までの路線バス便も出ている。
マイカーを無料駐車場に駐車してバスに乗り換えてアプローチすることも可能だ。
観光ハイシーズンの渋滞対策や駐車場確保する場合は貴重な選択肢になるのでうまく活用するとよいだろう。
それでは安心安全快適登山で御在所岳と湯の山温泉にいってらっしゃい!
管理人探訪日 | 2025年9月8日(月) |
御在所ロープウエイ駐車場発 | 6:45 |
御在所ロープウエイ駐車場戻り | 15:35 |