豊田市と設楽町との境界に位置する標高1240mの天狗棚。
面ノ木園地の中心部にそびえる天狗棚は古くから天狗の棲む霊山として崇められ人には寄りつきがたい場所でもあったと伝わります。
現在の面ノ木園地は展望台や遊歩道が整備されて四季折々に登山や景観を楽しむことができます。
空気が澄んでいて夜の光害が少なく良好な星空を観察できる面ノ木園地は日中の空の青さも格別です。
秋の好日、天狗棚、面ノ木園地へ澄み渡る青空やブナ原生林の紅葉を楽しみに出かけてみましょう。
天狗棚・1200高地登山、面ノ木園地へのアクセス
天狗棚・1200高地登山の起点となる面ノ木園地へはマイカーでアクセスするのが便利です。
茶臼山高原道路を通って面ノ木園地の面ノ木ピット駐車場を目指します。
青空ランチアドバイス
面ノ木園地の駐車場は面ノ木峠の近くに第一園地(面ノ木原生林)駐車場、富士見台の西に第三園地駐車場、そして無料休憩所のある面ノ木ピットとその向いに天狗棚駐車場が設けられています。
天狗棚へはいずれからでもアプローチできますが、トイレの利用を考えると面ノ木ピットから歩くのがおすすめです。
面ノ木園地のトイレは現在面ノ木ピットのトイレのみが利用可能で第一園地のトイレは閉鎖されています。
面ノ木ピットのトイレは午前9時から午後4時までの間開放されていますが、このトイレも冬期の12月から翌年3月いっぱいは凍結防止のため閉鎖されますので登山やハイキングに出かける際には注意が必要です。
また水曜日は定休日となっており駐車はできますが休憩所とトイレは利用できません。
尚、現地はクマへの注意喚起がされていますのでクマよけの鈴などを持参すると良いです。
天狗棚・1200高地登山ルートの近況と見どころ
今回は、面ノ木ピットの駐車場に車を停めて、面ノ木園地の主な見どころを回りながら天狗棚と1200高地に登山するルートについて近況を紹介しましょう。
今回のルートは天狗棚下山後に開放感いっぱいの第一園地で青空ランチにするプランです。
天狗棚へのルートは他にも第一園地を登山口にして天狗棚展望台でお昼にするプランなど色々なルート設定が可能ですので各自の都合に合わせて検討してみると良いでしょう。
登山ルート図は設楽町観光ナビのホームページが参考になりますが、施設名称やトイレ情報など一部に古い情報が残ったままですので最新状況は本記事を参照したり各自で確認することが必要です。
参考ルート(所要時間):
面ノ木ピット駐車場(30)→第三園地駐車場(5)→富士見台(30)→天狗棚展望台(20)→天狗棚(40)→1200高地(45)→天狗棚(20)→第一園地(30)→石の広場(20)→面ノ木ピット駐車場
*所要時間に休憩は含んでいません。所要時間は登山初級者が無理なく歩ける平均よりゆっくりめのスピードで想定しています。
面ノ木ピット
面ノ木ピットには個室型の無料休憩スペースが5棟建っています。
室内で火気の使用はできませんが、これだけの施設が無料で利用できるところはなかなかないのではないでしょうか。
施設はネット情報などでは月曜定休と案内されていますが、筆者が確認した10月時点では水曜日が定休日になっています。
利用可能な時間帯は前述のとおり、午前9時から午後4時までの間ですので午前9時を目安に現地に到着すればトイレも利用できて便利です。
木地師住居跡と湿原の散策道
木地師住居跡
面ノ木ピットの駐車場と車道を挟んだ向かい側も広い駐車場(天狗棚駐車場)になっています。
天狗棚駐車場の横には大天狗のオブジェが建ち、その前を駐車場の奥へと進むと木地師住居跡へ続く降り口になっています。
木地師住居跡にはかつて復元された家屋が建っていましたが、現在では取り壊されて説明板のみが残っています。
木地師は加工用の木材を求めて諸国の山中を巡りながらろくろ細工を生業にする職業集団でした。
木地師たちが立木に面を彫っていたことに由来するという面ノ木です。
こうして復元家屋がなくなってしまうと少し寂しい風景になっています。
面の木植物群落
木地師住居跡の周辺は湿地帯で設楽町指定天然記念物の面の木植物群落となっています。
湿地帯の中に木道が整備されていますので草花を探しながらのんびりと歩いてみるのがおすすめです。
第三園地駐車場から天狗棚展望台へ
植物群落を緩やかに下ってゆくと前方にガードレールが見えてきて砂利道の林道に出合います。
ガードレールが途切れた脇に道標が一本立っていますので右手の「石の広場→」方面へ向かいます。
林道をそのまま真っ直ぐ辿ってゆけば富士見台の西側にある第三園地の駐車場に到着します。
富士見台
第三園地の駐車場から富士見台を経由して天狗棚展望台を目指します。
林道入口に置かれた工事用バリケードの脇に道標が立っていますので「富士見台→」方面へ進みます。
すぐ先の電柱脇に登山者へ注意喚起する白い看板があり、登山道が左手へ分岐しています。
ここでこの登山道を登って行っても良いのですが富士見台を経由して登りたいため、この分岐では曲がらずに林道を真っ直ぐ富士見台方面へと向かいます。
数分で富士見台に到着しますが、実は現在では樹木が成長していて木立の隙間から富士山を探しても残念ながら良くわかりません。
よく見えないのですが、この先の登山道でも樹木の隙間から南アルプス方面の景色がチラチラと見え隠れして展望台での景色に期待が膨らみますので富士見台経由で登るルートがおすすめです。
富士見台からわずかの距離で今度は天狗棚展望台と石の広場を分ける分岐に出ます。
ここで左手の山腹に取り付き天狗棚展望台を目指します。
数分で再び分岐となり道標の矢印は左右どちらも展望台を差し示しているのでどちらに行こうかと迷いますが、どちらでもよくひとまず左へ行きます。
その先も2箇所で分岐となりますが展望台方面を確認して進めば問題はありません。
やがて天白神社の鳥居が見えて、これを過ぎると立派な階段が現れます。
慎重に階段を登れば天狗棚展望台に到着し一気に視界が広がります。
階段はかなり急ですので子連れなどでは注意が必要です。
天狗棚展望台
展望台からは津具の町並や奥三河の山々、南アルプスや富士山まで見渡せますのでベンチで一休みしていきましょう。
天狗棚
今回の登山ルートでは展望台でお昼にするには早すぎるので一休みしたら天狗棚山頂へ向かいます。
展望台からは15分から20分ほどの距離です。
展望台横の青い階段を登り国常立尊の碑の脇を通って尾根筋を行きます。
左手の木立の隙間から井山の風車が見え隠れしはじめて休憩ベンチを一つ過ぎると天狗棚山頂まで5分の道標が現れて面ノ木園地へ下る分岐点になっています。
復路はここで面ノ木園地に下りますので方角を確認したら引き続き尾根筋を山頂へ向かいます。
丸太の階段を一登りすれば木漏れ日の天狗棚山頂に到着です。
ブナ原生林を歩き1200高地へ
天狗棚山頂から標高1230mの1200高地を目指します。
1200高地は天狗の奥山と呼ばれ長野県根羽村と境界を接しています。
ブナ原生林を歩く
1200高地も展望は望めませんが登山道はブナ原生林の森林浴をたっぷり味わえます。
天狗棚山頂からはそのまま北へ尾根筋を一旦ゆるやかに下ります。
面ノ木原生林の道標を過ぎて丸太の階段を登り下りしながらブナの森を進みます。
1200高地と登り口
1200高地への登山道は最後の登り口となる分岐に明瞭な道標がないため初見の場合は少しわかりづらいです。
天狗棚から赤テープとオリエンテーリングの目印を確認しながら30分ほど進むと木橋を渡る手前で「A・OLコース→」と書かれた青い道標と細いL型アングルの杭が埋め込まれている地点に出合います。
杭には「界八六」と手書きされていますがこの地点から右の斜面を登るルートが1200高地への近道になっています。
また前述の木橋を渡って5分ほどさらに先へ進めば地形図に記載されている1200高地の山頂へとつづく破線ルートと出合います。
この地点には「面ノ木休憩所1800m→」と「←稲武野外教育センター2200m」を分ける青い道標が立っています。
この分岐で教育センターとは反対方向に植林伝いに斜面をまっすぐ直登しても1200高地の山頂に行けますので登りと下りでルートを分けて山頂を周回しても良いでしょう。
三角点のある1200高地山頂も展望は開けていませんが、陽だまりでゆったりと休憩できます。
面ノ木園地で青空ランチ
復路は往路で通過した「天狗棚山頂 5分→」、「←面ノ木園地 10分」の分岐まで戻って面ノ木園地へ下ります。
広い木立の中の斜面には丸太のステップが付けられていますのでこれを外さないように下れば、休憩ベンチを一つ過ぎて第一園地の登山口に下りてきます。
面ノ木園地
広い面ノ木園地は開放感抜群です。
青空も日なたも日陰もベンチもありますから、お好きなところで青空ランチが楽しめます。
筆者おすすめの青空ランチスタイルはこちらの記事で紹介しています。
石の広場
ゆっくりとお昼を食べたら最後に天狗の修行場、石の広場を経由して面ノ木ピットに戻ります。
石の広場へは県道80号線を茶臼山高原道路には入らずに第三園地の駐車場方面へ車道を歩きます。
20分ほどの車道歩きですが、緩やかな下り道ですので大した距離には感じません。
天狗棚橋、天狗橋と過ぎるとまもなくで第三園地に戻ってきます。
石の広場
第三園地の林道入口からふたたび富士見台方面へ向かいます。
往路で取り付いた天狗棚展望台への分岐を通り過ぎ、面ノ木園地の大きな説明板のある「石の広場→」の分岐まで歩きます。
分岐を右に下りれば天狗が修練に励んだという石の広場です。
杉木立の中に点々と岩が転がっていてなるほど天狗でも舞い降りてきそうな、ちょっと不思議な風景です。
石の広場からはそのまま林の中を往路で通った面の木植物群落へと下れますが、踏み跡が不明瞭なため前出の石の広場の分岐まで戻って砂利道の林道を辿りましょう。
分岐から引き続き砂利道を15分ほど歩けば茶臼山高原道路のガード下を通り、面ノ木ピットのトイレ脇に戻ってきます。
尚、今回筆者はガード手前の電柱の支線にスズメバチの大きな巣を見かけました。
スズメバチはまだ活動時期ですので見かけたら注意して刺激しないように通過しましょう。
天狗棚、面ノ木は紅葉のベストシーズンに入ります。
晴天を狙ってお出かけしてみてはいかがでしょうか。
他にも楽しい天狗伝説が残る山はこちらの記事でも紹介しています。
管理人山行日 | 2024年10月21日 |
面ノ木ピット発 | 7:20 |
面ノ木ピット戻り | 13:15 |