春よ、来い【鞍掛山から四谷千枚田へ】早春の棚田を展望する青空ランチハイキング

鞍掛山と四谷千枚田 愛知の山、自然
鞍掛山と四谷千枚田

奥三河鞍掛山の地形図をながめると、山の南西斜面にひろがる四谷地区の集落へ向かって谷筋から何本もの沢が流れ込んでいることがわかる。

沢水が流れる鞍掛山の傾斜地に開墾されている四谷の千枚田は日本の棚田百選に選ばれていて、愛知県内で棚田百選に選ばれているのは設楽町長江の棚田と四谷千枚田のみだ。

古き良き日本の原風景に会える場所として訪れる人の心を和ませてくれる四谷千枚田だがそこに至るには明治時代に発生した山津波の大惨事から立ち上がった先人たちの歴史がある。

今回は、仏坂トンネル西の駐車スペースを起点に仏坂峠へと上がり宇連山から来る縦走路を辿って棚田の水源となっている鞍掛山へ登る。

山頂からは春待つ四谷の千枚田へと下りて左回りで周回する登山ルートの近況を確認してみる。

道善畑から望む鞍掛山(2024年5月撮影)

道善畑から望む鞍掛山(2024年5月撮影)

春もおすすめ!鞍掛山と四谷千枚田周回ルート

全国に鞍掛と名前のつく山は多いが、奥三河の鞍掛山は西方より遠望するとよくぞ名付けてくれたと思えるほど馬の背状の山容が美しい。

また視点を変えて四谷の千枚田から見上げる鞍掛山は三角錐状の堂々とした存在感を示している。

鞍掛山は山頂こそ展望は望めないが、岩古谷山方面からも宇連山方面からも縦走路はアップダウンがあり登りごたえがあって、眺めてよし登ってよしの秀峰である。

そして今回は山頂から四谷千枚田へ下ってみたが、山中から棚田に降りてきたときに眼前にひろがる開放感あふれる景色は一級品だ。

棚田の風景は稲が青々と育つ初夏の季節や稲穂が金色に輝く実りの季節も魅力的だが、暑い時期の鞍掛山登山は「ヒル」が大敵になる。

だから本格的に暖かくなる前のこの時期なら比較的安心して登れるし、観光客も少ない棚田はのんびりできてハイカーにとってはとってもおすすめの時期だ。

鞍掛山登山ルート(出典:国土地理院ウェブサイト・地理院タイルを加工して作成)

鞍掛山登山ルート(出典:国土地理院ウェブサイト・地理院タイルを加工して作成)

鞍掛山登山口へのアプローチ

県道32号長篠東栄線を東進し四谷トンネルを抜けると仏坂トンネルをくぐる手前右手に駐車スペースがあって数台駐車できる。

かつては駐車スペースのすぐ脇が登山口の園地となっていて休憩ベンチが配されているのだが現在ではすっかり廃れてしまっている。

駐車スペース脇の園地(廃れている)

駐車スペース脇の園地(廃れている)

尚、登山を開始する前に四谷の千枚田駐車場に立ち寄って、先に千枚田と鞍掛山を下から見上げておきたい。

早朝でタイミングがよければモルゲンロートの鞍掛山に出会える。

早朝の鞍掛山と千枚田

早朝の鞍掛山と千枚田

四谷の真珠岩

登山口脇の園地は残念な状態になっているが、登山開始前に「四谷の真珠岩」を見物しておこう。

四谷トンネル東側出入り口の車道脇にある岩石だ。

岩の表面にある球状や楕円球状のひび割れから真珠のように丸い破片がはがれ落ちることからその名がついている。

鏡岩で有名な鳳来寺山周辺の松脂岩の中によく見られるというからこれも太古の昔に活動していた設楽火山の名残の岩体だ。

しばらく目を丸くして「真珠」を探してみたが、丸い破片は見つからなかった。

真珠岩の露頭

真珠岩の露頭

仏坂峠を経由し宇連山からの縦走路を北上する

鞍掛山登山口

登山口は前述園地の横にある鉄階段下になる。

鞍掛山登山口

鞍掛山登山口

登山ルートと所要時間の見積もり

登山口に東海自然歩道の絵図と案内板が掲げられているので確認しておこう。

東海自然歩道絵図(現地掲示板より)

東海自然歩道絵図(現地掲示板より)

絵図をみると今立っている仏坂登山口から仏坂峠までが約20分、仏坂峠から鞍掛山までは約2時間30分と案内されている。

もう一つの東海自然歩道の案内板では仏坂峠までは30分になっている。

今回は仏坂峠に上がり宇連山から来る縦走路を北上するが、鞍掛山山頂に至る途中で標高771mと標高888mの二つのピークを通過する。

鞍掛山は888mピークが最高点でこちらの方が山頂よりも高い。

仏坂峠から771mピークまでと同ピークから888mピークの間はアップダウンがあるので所要時間には個人差がでるところだが、それぞれ50分ほどは見積もっておくとよいだろう。

また前出の絵図では鞍掛山山頂から千枚田のある大代までの所要時間が約1時間となっているが、少しきつい印象だ。

山頂からかしやげ峠までの下山に約1時間、そこからさらに千枚田の展望台まで20分ほどみておきたい。

尚、展望台から車を置いた駐車スペースまで県道を歩くと40分ほどかかる。

仏坂峠へ

ルートを確認して登山口から緑色の鉄階段を上がるが、ハイカーの大敵「ヒル」の注意看板が目にとまる。

この時期の活性はまだ低いが念には念を入れておいた方がよい。

足元に忌避剤をスプレーしておくと少し安心だ。

階段を上がって転落防止のワイヤーロープが張られた山腹の小径を仏坂トンネルの上方へと辿る。

左手にえん堤を見送り、伐採木が散乱する登山道を進むと休憩ベンチと水場の立て札にであうがこの日は付近には水の流れがない。

登山口から15分ほど登ると一如観音が安置された分岐にでる。

分岐を左に曲がればほどなく仏坂峠に到着する。

仏坂峠

仏坂峠

仏坂峠からの鞍掛山縦走路

愛知県環境局の東海自然歩道「愛知県コース」のパンフレットでは仏坂峠と鞍掛山間はかしやげ峠と県道32号を通る道が東海自然歩道ということになっていて、宇連山と鞍掛山を南北に結ぶ縦走路は自然歩道の扱いにはなっていない。

仏坂峠にあがると馬頭観世音脇に「この先危険・悪路」の看板が立っていて身構えてしまうが、縦走路は登山者にはそれなりに歩かれている。

ただし急な斜面の上り下りが出てくるので十分にコースを研究の上、準備と体調を整えて転倒スリップには注意して歩きたいルートだ。

771mピークから888m最高点ピークへ

仏坂峠からまず771mピークをめざす。

ところどころで両手も使って木の枝や岩をつかみながら急な斜面を登ってゆく。

稜線上に根を張る松の木を越えた先で太いスリングベルトが残置されている岩場にでる。

岩の間からベルトを頼りに斜面を降りるがスリップには要注意の箇所である。

スリングベルトが残置されている岩場を降りる

スリングベルトが残置されている岩場を降りる

岩下からは歩きやすい尾根に変わり、鞍部から少し登ると771mピーク手前の小ピークにでる。

そこからさらに数分登れば771mピークに到着する。

ピーク周辺の立木や倒木にたくさんピンクテープが巻き付けてある。

縦走路はここで右手後方に鋭角に曲がって下っている。

踏み跡をよく確認して方向転換する。

771mピーク(鞍掛山へは右手後方へ下る)

771mピーク(鞍掛山へは右手後方へ下る)

引き続き888mの最高点ピークをめざすがルートは一旦、最高点ピークの南東に位置する830mほどの小ピークに正対する方向に続いている。

最高点ピークはその左前方に見えていてあそこまで登るのか、まだ遠いなという印象を受ける。

888m最高点ピーク(左)

888m最高点ピーク(左)

縦走路はせっかく高度を稼いできたのにまたスリングベルトと補助ロープのある急斜面を高度差50mほども下ってしまう。

きつい登り返しとなるが830mピークに向かう途中でルートは山腹をトラバースする感じでピークを逃げて左から巻き上がるようになる。

右手斜面にまるでアナコンダに巻き付かれたかのような立木が現れて目を見張ると縦走路はふたたび稜線上に戻る形となる。

両者引き分けの図?

両者引き分けの図?

さらに尾根伝いに急登を20分ほどこなすとようやく888m最高点ピークにあがって西方から南方にかけての展望がひらける。

宇連山も遠望できて眺めがよいので一服するのによいところだ。

888m最高点ピークからの展望

888m最高点ピークからの展望

不思議な「馬桶岩」

最高点ピークから先は登山道のアップダウンがゆるくなりずっと楽になる。

ピークから300mほど進んだ辺りから登山道脇に巨石が点在するようになり、鞍部からゆるい登り返しになる手前左奥に「馬桶岩」があって見どころになっている。

登山道の地面際に馬桶岩の小さな道標も立ててあるのだが最高点ピーク方面から下ってくると立木の陰になっていて気づきづらい。

左手側に注意を向けながら下ってくれば周辺にピンクテープがたくさん巻いてあるので気づくはずだ。

馬桶岩は岩のてっぺんに丸いくぼみがあって水が溜まっているのだがこの日はまだ凍っていた。

はじめからこのような形だったのか、雨が穿ったものなのか、人が削ったものなのか不思議な岩だ。

馬桶岩

馬桶岩

四谷千枚田分岐、三角点と鞍掛山山頂

馬桶岩から10分少々で四谷千枚田方面と鞍掛山山頂方面を分ける分岐にでる。

鞍掛山、四谷千枚田、馬桶岩三点分岐

鞍掛山、四谷千枚田、馬桶岩三点分岐

鞍掛山の883m三角点が分岐の道標から山頂方面へ登山道を少し進んだ右手にあるので確認してみよう。

「水源かん養保安林」と書かれた標識の近くに三等三角点が埋まっている。

三等三角点

三等三角点

三角点のすぐ先が鞍掛山山頂の園地になっていて東屋と休けいベンチがあるが東屋は残念ながら倒壊寸前だ。

ベンチはしっかりしているので休けいしてもよいが木陰はまだ寒いので頑張って千枚田まで下りてからお昼にしたい。

少しだけ休けいして下山にかかる。

鞍掛山園地休憩ベンチ

鞍掛山園地休憩ベンチ

春待つ四谷の里と千枚田へ

分岐までもどり四谷方面へと下る。

10分ほど下ったところとさらに数分下ったところに西の展望が得られる休けい所があるが通過する。

その先あたりから左手の山の斜面に岩石がたくさん張り付いて落石の危険がある要注意箇所になっている。

足元に加え、山の斜面にも注意を向けながら足早に通過したい。

崩れた休けいベンチと防火水槽があるあたりまで降りると登山道の傾斜もゆるくなり静かな植林の中を進むようになる。

植林の中を通過する

植林の中を通過する

山頂の分岐を発って30分ほどで東海自然歩道の道標「←鞍掛山山頂1.0km 1:00分 四谷の里2.0km 1:00分→」まで下りてくる。

四谷の里まで1時間の道標

四谷の里まで1時間の道標

道標の標高は590mあたりである。

道標の「四谷の里」がどのあたりを指しているのか判然としないがこの道標からあと20分でかしやげ峠、さらに20分ほどで千枚田の展望台とみておけばよい。

先へと下り東海自然歩道の道標をあと二つ通過すると墓地の裏手に出てそのすぐ先がかしやげ峠だ。

かしやげ峠

かしやげ峠

かしやげ峠には大雨による山津波で亡くなった方々の供養塔が建てられている。

明治37年に発生した山津波の災害では11名の方が亡くなったという。

かしやげ峠から切り通しの山道を進み、石垣が積まれた先へ抜けると折れた道標がある地点で道が二手に分かれている。

Y字分岐になってて東海自然歩道の小さな道標も立っているのだが左右の道で高度差があり左手に細道があることに気づきづらい。

Y字分岐(左へ)

Y字分岐(左へ)

まっすぐ右手の道に進みたくなるがそのまま下ると民家脇の舗装路にでてしまうのでこの分岐では左手の細道に入った方がよい。

細道に入ると大代の集落に流れ込む沢を一本またぎ越しその先を道標通り進めば千枚田展望台まで下りてくることができる。

千枚田と展望台が見えた

千枚田と展望台が見えた

千枚田は下から見上げても上から見下ろしても開放感にあふれいつまでも見飽きない。

トイレも設置されているひろい展望台で時間の許す限りゆっくりと青空ランチにすることができる。

車を停めた駐車スペースへは展望台から舗装路を10分ほど下ると県道32号線に合流するので仏坂トンネル方面へさらに30分ほど歩けば戻って来られる。

帰路にふたたび四谷千枚田の駐車場に立ち寄れば、朝とはまたひと味違った鞍掛山と棚田の表情に出会うことができるだろう。

管理人山行日 2025年3月9日
鞍掛峠駐車スペース発 7:45
鞍掛峠駐車スペース戻り 13:43
タイトルとURLをコピーしました