奥三河の雄【平山明神山】に逢いたい

平山明神山 愛知の山、自然
平山明神山

二日前に降った雨は現地では雪だったかもしれないなと少し心配しながら和市へと車を走らせる。

幸い和市に入っても降雪は見られず、岩古谷山の和市登山口第二駐車場まですんなりと上がることができた。

第二駐車場はすぐ近くに水場やトイレがあるので十三曲がり経由で平山明神山に登るなら第一駐車場よりも便利だ。

昨年の春に和市薬師堂の巨木、エドヒガン桜の花見を兼ねて岩古谷山を訪れたとき以来の山域。

好天が予想され奥三河の山並みと展望に期待が膨らむ。

十三曲がり経由で平山明神山、大鈴山、鹿島山を周回

和市から平山明神山に登るには、岩古谷山、大鈴山、鹿島山を含む4山を周回するルートがよく登られているようだ。

自分自身の歩くスピードを考えると4山は欲張りすぎだ。

昨年登っている岩古谷山は省略してもよい。

体力と時間に十分余裕を持たせてゆっくりと歩きたい。

今回は和市から十三曲がり経由で堤石峠へ上がって左回りで平山明神山、大鈴山、鹿島山の3山を周回してみる。

堤石峠からの平山明神山は難ルートとして注意喚起がなされており過去には転落事故も発生している。

気軽なハイキングコースではないので体力をキープして着実に登り無事に下山してくることを第一に考える。

十三曲がりで堤石峠へ

第二駐車場には7時13分に到着。

駐車場には一台も停まっていない。

通過してきた第一駐車場にも車は停まっていなかった。

体が火照るぐらい入念に準備体操を行う。

若い頃と違ってこれをやるのとやらないのでは体の動きと翌日への影響が全然違う。

登山口前のトイレで用を足し設置されている入山カウンターを確認すると「57」になっていた。

今月の一日の入山者は平均2~3名といったところか。

今日は平日だから山中で一組に出会うか出会わないかであろう。

登山口

登山口

東海自然歩道の道標を二つ過ぎ、丸太で作られた小さな橋を渡ると十三曲がりが始まる。

一曲がりから始めて山の斜面をきっちり十三回切り返すとベンチのある堤石峠へ上がる。

登山口からここまで30分ほど。

足慣らしにはちょうどよい距離だ。

ヒルで名高い山域である。

ズボンの裾をめくってヒルの点検。

この時期はまだ大丈夫だろうと思ったが、念のため忌避剤をスプレーしてきた。

ヒルは一匹でもごめんである。

よし、何とか大丈夫そうだ。

タイム:第二駐車場7:33→登山口7:38→堤石峠8:12

堤石峠から平山明神山へ

平山明神山のハイキングルートは大神田からの直登ルートを紹介するものはあっても堤石峠と平山明神山間のルートを紹介しているガイドブックはほとんど見かけない。

岩古谷山からの東海自然歩道も堤石峠で西に折れて池葉守護神社へと至っているので堤石峠と平山明神山間がクローズアップされる機会は少ないのだろうけれど、歩かれていないかというと決してそんなことはなく登山アプリなどを見れば年間何百人も歩いていることが確認できる。

堤石峠から平山明神山に初見で登る多くのハイカーは乏しい情報の中、ルートを事前に十分調査できぬまま入山しているであろう。

このルートは難路であることには違いなく、であればなおさら入山者にとっては事前に参考になる情報がほしい。

良質なガイドブックや案内図が増えてくることを期待したい。

小ピークを縦走

堤石峠からは尾根筋を北上しながら4つの小ピークを越えてゆき大鈴山と平山明神山の縦走路上にある標高920mのT字分岐をめざす。

堤石峠で一つ目の小ピークにコンパスを合わせて出発する。

右手に目をやると木立の隙間の奥には朝日に照らされた三ツ瀬明神山が雲海の上にシルエットになって浮かび上がっている。

天気もよく気分が高揚してくる。

三ツ瀬明神山が顔を出した

三ツ瀬明神山が顔を出した

峠から10分とせずに立木から一本古いロープが垂れている最初の岩場にでる。

ロープを体の前に置きピンクテープの見える頭上へと慎重に登る。

最初の岩場

最初の岩場

岩場をクリアして5分ほどでもう一カ所ロープ場を登り、さらにピンクテープを辿って進む。

目印のテープは点々と続いているのでこの辺りのルートは分かりやすい。

雪はまったく付いていないが枯れ葉の積もった斜面が滑りやすい。

慌てることはない。

ルートの先を確認しながらスリップに気をつけてゆっくりと進み、峠から25分ほどで最初の小ピークに到着した。

ピークで進路は北に曲がっているのでコンパスを調整する。

二つ目の小ピークに向かって真北に20mほど下ってロープ場を一カ所やり過ごすと「←岩古谷/平山明神→」の道標が地面に落ちている。

高度40mほど登り返して二つ目の小ピークに到着。

ルートは二つ目の小ピークで今度は北東にカーブしており20mほど下ると立木に黄色いテープが巻いてある岩場になる。

真っ直ぐ下へ降りたくなるところだがルートは右手、岩の間を通って下へ降りる。

黄色いテープから右手へ降りる

黄色いテープから右手へ降りる

降りた鞍部から杉林を少し登り返せば3つ目の小ピークに到着する。

枯れた松の枝の間から目指す平山明神山がよく見える。

腰を下ろすのにちょうどよい平たい岩があるのでここで一息入れることにする。

鎖場手前で一服(平山明神山がよく見える)

鎖場手前で一服(平山明神山がよく見える)

ルートはこのすぐ先でチェーンとロープが張られた岩場の下りになっている。

横に張られたロープにはたるみがあり引っ張りすぎると体が振られてしまうので注意だ。

中間バンドに一段降りてもう一段降りる

中間バンドに一段降りてもう一段降りる

岩場は中間バンドにトラバースしてバンドからもう一段下へ降りる形になっている。

ロープ伝いに降りる

ロープ伝いに降りる

足を下ろす位置を見極めて落ち着いて下ればそれほど難渋することはない。

岩場を降りると鞍部となり最後の小ピーク867mに向かって標高差80mほど杉林を登り返す。

鞍部から10分ちょっと登り開けたピークに上がると「岩古谷十三曲り→」の道標が立っている。

867ピークの道標

867ピークの道標

ルートは867mピークから北東へ40mほど下ってから110mほど登り返し大鈴山平山明神山縦走路のT字分岐に続いているが下り口が少し分かりづらい。

コンパスでT字分岐方向を確認しブッシュ混じりの急斜面を北東に降りると残置ロープが見つかる。

残置ロープ伝いに急斜面を降りてくる

残置ロープ伝いに急斜面を降りてくる

足元の悪い急斜面を残置ロープを補助にして慎重に下ると傾斜がゆるやかになって伐採林の中の小径になる。

鞍部に出てさらに5分ほど進むと杉の木にピンクテープが巻かれた岩場下に行き当たり上部の立木からロープが垂れている。

T字分岐への急登

T字分岐への急登

岩と木をつかみながら15分ほど急斜面を登るとやがて傾斜がゆるくなり大鈴山平山明神山の縦走路に合流した。

大鈴山平山明神山T字分岐

大鈴山平山明神山T字分岐

タイム:堤石峠8:17→第一小ピーク8:43→第二小ピーク9:00→第三小ピーク9:17~9:23→867mピーク9:46→大鈴山平山明神山岩古谷山T字分岐10:20

馬の背のナイフリッジ

分岐で大鈴山への縦走路を確認し、反対側の平山明神山へと向かう。

3分ほどで大岩に進路をふさがれる。

赤い丸印のついた右手から左上に向かってロープ伝いに岩場を登り上がると北側の景色が開けてくる。

右手から左上へ岩場を上がる

右手から左上へ岩場を上がる

立木に付けられた不明瞭な道標と庇状に突き出る岩の横を通り過ぎると尖った大岩に木の根が巻き付く950mピークにでる。

よじ上がれば馬の背だ

よじ上がれば馬の背だ

左からよじ上がると痩せ尾根に上がり正面に目指す平山明神山が間近に迫って見える。

平山明神山が迫る

平山明神山が迫る

尾根の先はさらに細く切れ落ちた馬の背のナイフリッジになっていて今日一番の絶景が開けている。

北方には恵那山や大川入山、茶臼山、南アルプスを遠望し、南方には三ツ瀬明神山から宇連山、鞍掛山、岩古谷山の山並みが一望できる。

馬の背からの北方展望

馬の背からの北方展望

馬の背からの南方展望

馬の背からの南方展望

痩せた馬の背に立ったときの印象は足がすくむ人、平気な人とそれぞれだろう。

鎖の一本ぐらいあってもよいのではと思うが自然のまま。

ルートは高所の痩せ尾根の上に続いている。

この日は雪も風もなく、つまづかないように注意して落ち着いて下れば大丈夫。

痩せ尾根を下る

痩せ尾根を下る

タイム:T字分岐10:20→950ピーク10:34→馬の背10:36

西の覗き、平山明神山山頂、小鷹大明神、東の覗きをめぐる

馬の背から樹林帯に入り「滑落者有り」の札を過ぎて大岩を右に見ながら斜面を一登りすると「←西の覗き」と「明神山山頂→」を分ける分岐に上がる。

ひとまず西の覗きに立ち寄ってみる。

西の覗きからは後ほど縦走することになる大鈴山がよく見える。

西の覗きからの大鈴山

西の覗きからの大鈴山

分岐に戻り平山明神山山頂方面へ直進するとすぐに「東の覗き→」への小道が左に枝分かれしている。

東の覗きは後回しにして先に山頂方面へと一登りすれば平山明神山の山頂に到着だ。

平山明神山山頂

平山明神山山頂

山頂の脇に「小鷹大明神本社↘」への道標が立っているところから南へ数分下ると岩の間に小さなお社が祀られている。

小鷹大明神

小鷹大明神

手を合わせて山頂へ戻り、東の覗きに向かう。

東の覗きは分岐の道標から枝道を数分進んだ先にある。

ここでゆっくりとお昼休憩にする。

今日の青空ランチはアルペン的な三ツ瀬明神山やぽこんと丸い御殿山などの大展望を楽しみながらおにぎりと豚汁のシンプルランチ。

豚汁は出掛けにスープジャーに詰めて防寒帽子に包んできたのでまだ熱々だ。

天空のレストランで贅沢なひととき。

東の覗きから御殿山(左)と三ツ瀬明神山(右)

東の覗きから御殿山(左)と三ツ瀬明神山(右)

タイム:馬の背10:45→西の覗き10:53→平山明神山山頂11:02→小鷹大明神11:05→東の覗き11:15

グミンタ峠経由大鈴山

お腹を満たし大鈴山へ向かう。

誰も上がってこない。

転落などの大事故を除けば奥深い山での大きなリスクは捻挫や肉離れなどで急に歩けなくなることだろう。

屈強パーティーであったとしてもたった一人歩けなくなれば自分たちだけで負傷者を援助しながら下山してくることは困難になる。

ビバーク装備を用意して入山することは当たり前だがルート中の電波の入り状況なども確認しながら留守宅に連絡ができるときは現在地を伝えておくと少しは安心できる。

東の覗きから往路を下って馬の背を登り返し、大鈴山平山明神山縦走路の岩古谷山T字分岐まで戻る。

分岐から大鈴山へ向うと5分ほどで雨宿りビバーク岩に着く。

大きく張り出した岩の下なら確かにビバークできそうだ。

雨宿り岩

雨宿り岩

ビバーク岩の先へ10分ほど下ると立木に目印テープと「←大鈴山・平山明神山→」の道しるべが巻かれている。

ルートはその先で一旦尾根筋を離れる形で西側斜面へ下っている。

下った先に「大鈴山↘・鹿島山↘」の銘板があり右手方向にピンクテープが続いているのでこれを辿って逆コの字状に元の尾根筋に巻き戻る。

大鈴山鹿島山方向銘板

大鈴山鹿島山方向銘板

尾根筋をさらに北へと進みトラロープの張られた斜面を下ると開けた鞍部にでてグミンタ峠に到着する。

ここから急登がつづくので一息入れることにする。

グミンタ峠

グミンタ峠

グミンタ峠でザックに縛り付けておいた新調したばかりのトレッキングポールを伸ばしてみる。

ちょっと重いが全長を50cmに畳めるところが気に入って購入してみた。

使い勝手を試すにはちょうどよい斜面だ。

昔はストックなんかいらなかったのになあと思いつつ、最近は手放せなくなってしまった。

標高差160mほどはある長い斜面を根気よく登り始める。

鹿島山大鈴山縦走路への登り

鹿島山大鈴山縦走路への登り

30分ほど斜面を詰め上がりやっと縦走路に抜けたがいつの間にか北風が強烈で寒い。

たまらず一枚着込んで分岐を東に折れて大鈴山に向かう。

10分ほどで大鈴山山頂に到着。

山頂は木立に半分囲まれているためそれほど寒くはない。

南側の展望が開けており南アルプスも遠望できる。

東の覗きで一つ食べ残したおにぎりで2回目のお昼休憩。

大鈴山山頂

大鈴山山頂

タイム:東の覗き11:41→大鈴山平山明神山岩古谷山T字分岐12:14→雨宿りビバーク岩12:20→グミンタ峠12:45~13:02→鹿島山大鈴山縦走路T字分岐13:29→大鈴山山頂13:38

鹿島山と池葉守護神社の大杉

大鈴山から鹿島山へは尾根筋を西へゆるやかに下って行く。

ルートも明瞭で木立の中に午後の日差しが差し込みいい雰囲気だが北風が相変わらず強い。

鹿島山の南側斜面に抜ければ風も収まるだろう。

落ち葉が多く滑りやすい斜面も現れるが、残雪もなく持参したチェーンスパイクは最後まで出番はなさそうである。

鹿島山への縦走路

鹿島山への縦走路

大鈴山を発って40分ほどで「←鹿島山」「大鈴山→」「↙和市」のT字分岐に到着。

分岐のすぐ西が鹿島山山頂で大岩が横たわっている。

鹿島山山頂と和市分岐

鹿島山山頂と和市分岐

大岩をぐるっと一回りして和市方面へ下る。

下りはじめに急な斜面が続くが新調ストックが効果を発揮してくれる。

なかなかいい調子だ。

20分ほどで池葉守護神社脇の登山口に降り立ち神社に立ち寄る。

神社の本殿奥には設楽で最大と言われる杉の御神木がある。

和市薬師堂のエドヒガン桜とともに必見の巨木である。

また御神木のすぐ隣には根元で幹が合体している合体木もあって興味深い。

池葉守護神社と杉の大木

池葉守護神社と杉の大木

神社の鳥居前に立つ道標から80m先にある休憩所方面へ東海自然歩道を下る。

休憩所には竹樋で水が引かれているが今日は滴ほどにしか流れていない。

先へ下り東海自然歩道の道標を一本過ぎるとグミンタ峠につながる砂利道の分岐に降りてくる。

和市・岩古谷山方面へと東海自然歩道を進めば舗装路に出合う。

ここまで下りれば一安心。

舗装路を第二駐車場まで戻る。

第二駐車場(向いに水場がありさっぱりできる)

第二駐車場(向いに水場がありさっぱりできる)

駐車場で整理体操をしていると充実感が湧いてくる。

平山明神山は今日一日優しい表情で迎え入れてくれた。

ありがとう平山明神山。

タイム:大鈴山13:58→鹿島山14:38→池葉守護神社15:00→第二駐車場15:50

管理人山行日 2025年1月21日
第二駐車場発 7:33
第二駐車場戻り 15:50
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