【夏の黍生山登山】足助の城址で涼む半日ハイク

黍生山 愛知の山、自然
黍生山

黍生城址で平安時代の武将が見ていた遠景を楽しむ

紅葉で知られる足助の香嵐渓からほど近い黍生山は標高375mの低山でありながら広々とした山頂からの眺望がすばらしい。平安の昔にこの山の山頂を主郭として築かれた黍生城は足助氏の始祖足助重長によるものと伝わり、現在は山頂周辺が遺構となっている。

梅雨時から夏の間は黍生山登山の適期とは言いがたいが、木立がまばらに立つ山頂はところどころに日陰を確保することができて、通り抜ける風がハイキングでかいた汗を冷やしてくれる。

山頂に到着すればゆっくりできるのが大きな魅力の黍生山だが、夏場は登頂するまでが結構大変だ。蒸し暑さと虫に悩まされる。涼を求めるだけなら香嵐渓でじっとしておれば良いのだが、やっぱり登った者だけが楽しめる眺望と山頂でのほっとしたひとときの方に軍配が上がる。

事前の準備を充実させることで、暑さと不快さを軽減することができる。しっかり準備して平安時代の武将の館があった足助の山城址へ半日ハイクにでかけてみよう。

黍生山山頂の大岩

黍生山山頂の大岩

季節に合わせてハイキングコースを選ぶ

この記事では井ノ口、追分側の登山口から登って黍生山登頂後は足助新橋北の近岡へ下山するコースを紹介しているが、逆のコースを選択しても良い。井ノ口から近岡(あるいはその逆)へ歩けば山容の理解を深めることができる。もちろん山頂を踏んで、登りと同じルートを辿って下山することも可能だ。暑い季節は自分の体力に見合ったアプローチと下山ルートを検討してみよう。

バスも車もアクセスは便利

黍生山へは国道153号線沿いの近岡側か井ノ口、追分側の東西どちらかの登山口からアプローチすることになる。バスならとよたおいでんバスの「近岡上バス停」が東側の登山口に近く、名鉄バスととよたおいでんバスの「足助追分バス停」が西側の登山口に近い。車であれば足助新橋南の多目的広場の駐車場や足助八幡宮南の宮町駐車場など各所に駐車場がある。いずれも時期や曜日によっては休業していたり、料金が異なったりするので事前に確認してからでかけると安心だ。

暑い夏場は近岡からのピストンがおすすめ

夏場の蒸し暑い登りをできるだけ短くして山頂でゆっくりするなら東側の登山口となる近岡からピストンするコースがおすすめである。西側の井ノ口側から山頂までの登りは近岡側から登るより若干時間が長くなる。

夏の黍生山ハイキングコース近況

ここでは、宮町駐車場に車を置き西側の井ノ口、追分側から山頂を踏んで東側の近岡に下りて来るコースで黍生山の近況をご紹介したい。

参考ルート(タイム):宮町駐車場(20)🚶→足助新橋(20)→追分交差点(2)→接骨院前登山口(15)→送電鉄塔下(30)→林道出合い西口(15)→黍生山山頂(5)→林道出合東口(5)→送電鉄塔1下(25)→送電鉄塔2下(10)→近岡登山口(10)→神明社(20)→宮町駐車場

*コースタイムは登山初級者が無理なく歩けるスピードで推定し、休憩時間は含んでいない。

巴川左岸の東海自然歩道を歩く

香嵐渓から大島までの間の巴川左岸は、寧比曽岳から勘八峡へ連なる東海自然歩道の一部となっている。宮町駐車場を出たら川沿いを歩いてみよう。足助新橋から小原橋までの間が10月末までの予定で車両を通行止めにして工事しているので足助新橋まで来たら北側へ渡る。正面奥が黍生山だ。橋を渡った先の国道153号線交差点角に神明社が建っている。ここが帰りに下山してくる地点だ。もし近岡から黍生山をピストンする計画にした場合は、この神明社前から登山口へアプローチする。神明社には手洗いも設置されている。

足助新橋から望む黍生山(正面奥)

足助新橋から望む黍生山(正面奥)

登山道入口の道標が不明瞭

足助新橋北から国道153号線を追分交差点まで歩く。追分交差点で県道358号月原近岡線に入りしばらく歩くと接骨院前に古びた道標が立っている。

黍生山道標(不明瞭だ)

黍生山道標(不明瞭だ)

道標の文字は判読できないが、接骨院前の坂道を進むと舗装が終わって草地の広場になる。

草地右奥へ進むと登山口

草地右奥へ進むと登山口

道標の文字も確認できないため初めて黍生山に登る場合は不安になるところだが、草地の奥に立つ小屋へと向かって進んで右へ曲がるともう一本道標が立っている。この道標も古びて文字が判読できないが、ここが井ノ口、追分側からの登山口となっているので左手の林の中へ入ってゆけば良い。

黍生山登山口(道標は不明瞭だ)

黍生山登山口(道標は不明瞭だ)

足助の山城黍生城址で涼む

樹林の中の登山道を10分ほど登ると送電鉄塔下に出る。さらに5分ほどでやっと文字の明瞭な道標が一つ現れる。山頂方面へ進路をとりさらに10分ほど登ると、左手から水音が聞こえてきて丸太橋で小さな沢を渡る。

沢を渡って数分歩くともう一つ道標が現れる。その先で大きな倒木の下をくぐって枝沢を渡るとトラロープの張られた赤土の急登になる。登山道を登りきったところで林道に出合う。林道は左手に進んだ先が黍生山登山道西口、右手に進むと登山道東口につながっているのでここは左の西口方面へと進む。

林道出合(左手の登山道西口へ進む)

林道出合(左手の登山道西口へ進む)

登山道西口の道標脇から再び登りはじめると松、シダ混じりの明るい林に様相が変わり15分ほどで広い山頂に到着する。前方に見える猿投山の長くなだらかな山裾が美しい。ゆっくりと木陰で休憩しよう。

黍生山山頂

黍生山山頂

東側の近岡へ下山する

山頂の東に大岩が二つ並んでいる先から近岡方面へと下る。5分ほどで登りのときに出合った林道に下りて来る。林道を横切ってさらに5分ほど下ると倒れた道標の先で鉄塔下に出て空が開けるが、再びすぐに林の中に入る。

落ち葉の深い山道をさらに15分ほど下ると近岡と山頂を分ける道標が現れて竹林となる。左下に沢音を聞いて急な下りを過ぎると再び開けて二つ目の鉄塔下に出る。

道は再度林の中へと続き、墓地の脇を通って竹林の中を下ってゆけば緑色のパイプで手すりを組んだ近岡(上)黍生山登山道入口に下り立つ。

黍生山登山道入口

黍生山登山道入口

舗装路を下り、ごみ集積場を正面に見て三叉路を右折すれば足助新橋北の神明社に帰ってくる。

ごみ集積場前三叉路(手前が神明社、左奥が登山口)

ごみ集積場前三叉路(手前が神明社、左奥が登山口)

登山コースを近岡から登って黍生山をピストンして帰る計画にする場合は、神明社前からこの舗装路を上ってきてごみ集積場前で三叉路を左に上がっていけば登山道入口だ。

神明社(登山道入口へは左手へ進む)

神明社(登山道入口へは左手へ進む)

暑さ対策、防虫対策を忘れずに!

夏の黍生山登山は暑い。山頂に登れば木陰で十分暑さをしのげるが、登りも下りも日差しの少ない樹林帯を歩くとはいえ汗をかく。暑さに慣れていない体で低山ハイクと侮って出かけると脱水症、熱中症にかかる危険性が高くなる。吸汗、速乾性のある衣服の着用、汗冷えへの対応、帽子やタオル、水などの基本装備をしっかり準備してから出かけよう。

また、夏場は山頂直下の登山道入口のある林道から下部の山中では蛾やブヨなどの虫が出る。登山前に防虫スプレーを使用したり、防虫ネットや虫刺されの薬などを持参して行くと安心だ。

尚、黍生山の登山道は比較的しっかり踏まれているが落ち葉の堆積が厚くや腐葉土が柔らかいところが多い。雨あがりなどは足元が濡れてすべりやすくなる。スニーカーなどで出かけるのは避けた方が無難だ。

飯盛山へおかわりハイク

神明社前から車を止めた宮町駐車場まで戻る。時間と体力に余裕があれば、香嵐渓のすぐ東にある標高254mの飯盛山に出かけてみるのもおすすめだ。頂上には神様が座ったとされる巨石「盤座(いわくら)」があり、神様が現在の八幡宮の方角に向けて足を休められたことから「足助」という地名がついたという説がある。

巴橋を東へ渡った先から散策道が頂上まで続いている。飯盛山はカタクリの群生地で花のシーズンは過ぎてしまっているが、夏場のもみじの緑も美しい。

飯盛山の盤座

飯盛山の盤座

下りは往路を少し戻って「装束塚・香積寺」方面へ下りれば豊栄稲荷、香積寺とめぐって香嵐渓へ下りてくることができる。時間の許す限り夏の香嵐渓の散策も楽しんでみよう。

香嵐渓

香嵐渓

まとめ

昨今の猛暑では、体が暑熱順化する前に夏がきてしまったという人も多いだろう。夏の低山は油断禁物。自分の体力を知って、できるだけ暑熱回避しながら夏山を楽しみたい。

管理人探訪日 2024年7月13日
宮町駐車場発 8:30
宮町駐車場戻り 14:50

*飯盛山、香嵐渓散策含む

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