【寧比曽岳 伊勢神峠ルート】晴天を狙って展望の山へ出かけよう!

寧比曽岳山頂 愛知の山、自然
寧比曽岳山頂

寧比曽岳は段戸高原県立自然公園にあり、周辺の筈ヶ岳、出来山、鷹の巣山などと一帯となって愛知県の屋根ともいわれる山岳の景観を形成しています。

寧比曽岳は東西に走る東海自然歩道の本線コースに山頂で北から恵那コースが合流しており東、西、北の三方向からアプローチすることができます。三本ある登山道のいずれもこの東海自然歩道を辿るもので山頂からの展望はすばらしく、ぜひとも晴天を狙って景色を楽しみに出かけてみたい山です。

今回は伊勢神峠から大多賀峠を経て山頂に至る東海自然歩道の恵那コース(伊勢神峠ルート)について登山口へのアクセスやルートの近況、見どころなどを紹介したいと思います。

東海自然歩道恵那コースで寧比曽岳へ

愛知県内の東海自然歩道は東は静岡県境の新城市鳳来地区鳶の巣山から西は岐阜県境の犬山市ライン大橋に至る長大な本線コースに北側から恵那コースが寧比曽岳山頂で合流しています。

地図上で寧比曽岳周囲の東海自然歩道をながめると寧比曽岳はまるで三本羽風車のハブのような位置づけにあります。段戸高原県立自然公園も寧比曽岳を中心としたかざぐるまの羽のような形で広がっています。

愛知県内の東海自然歩道については、愛知県のホームページが参考になります。こちらのページで各コース参照できます。

今回歩く恵那コースは奥矢作湖を経由して岐阜県恵那市を通り犬山市善師野で再び本線コースに合流しています。寧比曽岳山頂へは恵那コースの途中にある伊勢神峠もしくは大多賀峠からアプローチします。

伊勢神峠へのアクセス

車で伊勢神峠登山口駐車場まで上がることができます。バスであればとよたおいでんバス「稲武・足助線」伊勢神バス停が最寄りになります。

国道153号線のドライブイン伊勢神の交差点から伊世賀美隧道(旧伊勢神トンネル)へ向かいます。旧トンネルの手前右側が伊勢神峠登山口駐車場です。登山口駐車場にはトイレ施設はありませんのでドライブイン等で事前にすませておく必要があります。

大多賀峠へのアクセス

伊勢神峠からの東海自然歩道恵那コースは大多賀峠を経由しますが、大多賀峠まで車でアプローチして山頂を目指すことも可能です。一日の歩行時間を短縮したい場合は大多賀峠から登りはじめるとよいでしょう。

県道33号線沿いに大多賀峠登山口駐車場があります。こちらも付近にトイレ施設はありません。登山口は県道を北へ少し進んだところに見えています。

ルートの近況と見どころ

今回の登山ルートの近況と見どころを紹介しましょう。

伊勢神峠登山口駐車場から大多賀峠へ

伊世賀美隧道(旧伊勢神トンネル)

駐車場から北へ少し戻ったT字路の向い側が登山口で車道の右手奥が伊世賀美隧道(旧伊勢神トンネル)です。伊世賀美隧道は昨今心霊スポットなどと言われてしまっていますが、明治30年(1897)に竣工したトンネルは迫石を二重の馬蹄形に組み上げた重厚な断面を見せています。2000年に国の登録有形文化財になっています。

石積みの隙間からは湧水がしたたり落ちていて見応えがあります。少し寄り道して見学していきましょう。

伊世賀美隧道(旧伊勢神トンネル)

伊世賀美隧道(旧伊勢神トンネル)

伊勢神峠と八百比丘尼の杉

トンネルから登山口へと戻り伊勢神峠へ向かいます。登山口からは苔むした細い舗装路をつづら折れに登っていきます。

伊勢神峠ルート登山口

伊勢神峠ルート登山口

10分ほどで「国道153号伊勢神バス停、伊勢神峠、伊勢神宮遙拝所」の三点分岐に至ります。伊勢神峠はかつて善光寺参りの人々や三河湾でとれた塩を馬の背に乗せて運ぶ「中馬」の人々が行き来した塩の道・中馬街道の最大の難所でした。分岐からすぐ先にありますので立ち寄ってみましょう。

伊勢神峠への三点分岐

伊勢神峠への三点分岐

この峠には人魚の肉を食べて不老長寿を得た八百比丘尼の伝説にまつわる杉の木が立っていて見どころとなっています。

不老長寿伝説八百比丘尼の杉

不老長寿伝説八百比丘尼の杉

伊勢神宮遙拝所

峠から分岐に戻って伊勢神宮遙拝所方面へと向かいます。ほどなく遙拝所に到着し天気が良ければ伊勢湾方面を遠望できます。今回筆者は朝方の登山時には霞んでいてあまり遠くまで見通せなかったのですが、下山時は海が夕日に照らされて金色に輝きなかなかいい具合に見えました。

伊勢神宮遙拝所からの遠望

伊勢神宮遙拝所からの遠望

遙拝所から東海自然歩道を辿って大多賀峠へ向かいます。遙拝所から大多賀峠までの所要時間は東海自然歩道の案内図では2.5km50分となっていますが、休憩時間もプラスして行動計画に入れておきましょう。

コースの要所には東海自然歩道の道標がありますので「大多賀峠」、「寧比曽岳」方面へ道標を辿ります。「大多賀峠」や「寧比曽岳」と表示のない道標の場合は「東海自然歩道」の表示になっていますから自然歩道を外さずに歩いてゆけば大丈夫です。

途中大多賀峠まで2.0km40分の地点と1.1km20分の地点にも道標が立っており休憩ポイントになっています。1.1kmの休憩ポイントにはかつてトイレもあったのですが、現在では閉鎖されていて使用できません。またすぐ手前は伊勢神湿原が広がっている景勝地ですが、湿地の木道の腐食が進み立ち入り制限されていてちょっと残念な状況になっています。

大多賀峠まで1.1kmの休憩ポイント

大多賀峠まで1.1kmの休憩ポイント

休憩所からは閉鎖されたいこいの村へ続く車道を右手に見ながら山腹の小径を辿ります。大多賀峠まで0.5km10分の道標を過ぎた先で階段を下ると車道のガードレール脇に出ます。

自然歩道を下ると車道脇に出る

自然歩道を下ると車道脇に出る

ここで車道に下りて先へ進んでもよいですが自然歩道はガードレールに沿って続いていますのでもう少し自然歩道を歩くと再び車道に下りてきます。車道の先に登山口が見えて大多賀峠に到着します。大多賀峠登山口駐車場も車道の先に見えています。

大多賀峠登山口

大多賀峠登山口

大多賀峠から寧比曽岳へ

大多賀峠からのルートの近況と見どころを紹介しましょう。まず注意点ですが登山口にツキノワグマとスズメバチへの注意喚起がなされています。両者への対応はなかなか難しいですが、できるだけ出合わない工夫や刺激しない行動を心がけたいですね。

また令和6年12月末にかけて登山道付近で森林組合が伐採作業を行っています。作業中に付近を通ることがあれば自身の存在を知らせるようにしましょう。

登山ルートですが大多賀峠から寧比曽岳山頂間は2.3kmあります。峠から500m登った先から寧比曽岳までの距離と所要時間を示す道標が200~300mおきに合計6ヶ所配置されています。

道標の所要時間は登り60分、下り50分ほどで見積もられていますが、途中300m歩いても残りの所要時間が変わらない道標があります。最後の600m15分の道標からも少々きついコースタイムの印象です。子連れの場合や体力、脚力に不安な方は所要時間を2、3割プラスして見積もっておいた方がよいでしょう。

亀の甲岩

登山口から緑色の鉄ばしごを登って10分ほどで「←大多賀峠0.5km10分、寧比曽岳1.8km50分→」の道標があります。ここで直角に右に曲がって広い尾根上を進むと亀の甲岩に到着してルートの見どころとなっています。

亀の甲岩

亀の甲岩

もう二カ所ほど道標のある箇所で直角に左、右へと曲がると「寧比曽岳1.6km40分→」の道標が現れて休憩ベンチが設置されています。次の道標からは登りがきつくなりますので一服入れると良いと思います。

休憩ベンチで一休み

休憩ベンチで一休み

次の「寧比曽岳まで1.4km30分」の道標のあたりから伐採林が始まり本格的な登りとなります。木の根が地表をうねる登山道を進んでいきます。

寧比曽岳まで1.4km30分の道標

寧比曽岳まで1.4km30分の道標

幻の300m?

間伐された丸太が残る山腹の斜面に立つ道標まで来て残りの距離と時間を確認すると、アレ?300m歩いたはずなのに寧比曽岳までの所要時間は30分のままです。ずっと登ってきたはずなのにと思いながらも登山あるあるですね。気を取り直して登りましょう。

寧比曽岳まで1.1km30分の道標

寧比曽岳まで1.1km30分の道標

水場

寧比曽岳まであと0.8kmの道標、0.6kmの道標と二つやり過ごすと立木に「←水30m」の札が付けられたところまで登ってきます。左に斜面を下ると細い水が引かれています。余力があれば立ち寄ってもよいですが上部には登山道もありますので手を洗うぐらいにとどめた方が無難です。

水場

水場

がんばりどころの「山頂まで0.6km15分」

寧比曽岳まで0.6km15分の道標から山頂までの間も少々きつめのコースタイムですがもうひと踏ん張りです。山頂には屋根付きの休憩所やベンチがたくさんありますのでゆっくりと青空ランチが楽しめます。

筆者おすすめの青空ランチスタイルはこちらの記事で紹介しています。

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寧比曽岳山頂

寧比曽岳山頂

富士見峠

富士見峠は東側の段戸湖登山口から寧比曽岳に登ってくるルート上にあり山頂の休憩所脇から10数分ほどで行けます。ベンチとトイレが設置されていますが、残念ながら眺望は効かずトイレもメンテナンスがされていないため使用が推奨されていない状況です。

富士見峠のトイレとベンチ

富士見峠のトイレとベンチ

下山時の注意事項について

下山ルートは登ってきたルートを忠実に戻ります。今回筆者はこの「忠実に」ができず下山路を外してしまいましたので以下は反面教師にしていただければと思います。幸いすぐに気がつき登り返してルートに戻りましたが注意力が落ちているとひらけた尾根などでよくやる失敗です。

場所は伐採林が終わる「寧比曽岳まで1.4km30分、大多賀峠まで0.9km20分」の道標から少し下った辺りです。立木に巻かれたピンク色のテープを辿っていていつの間にか踏み跡を外していました。

立木のテープは伐採作業用のテープであったり、ルートから離れたところにある木に巻かれている場合もありますし、尾根が広いとあちこち歩けるので特に下りで踏み跡を外しやすくなります。

目印のテープと踏み跡の両方に注意を向けて歩くことが大切ですね。そしてルートを外したと思ったら地図やアプリで現在地を確認して元来た方向へ戻るようにしましょう。

寧比曽岳ハイキング情報

最後に登山口に伊勢神峠を愛する会、明和自治区主催の寧比曽岳ハイキングがPRされていましたので紹介します。

令和6年10月27日(日)開催予定です。伊勢神名物の大五平餅やフルーツポンチなどがついて500円で参加できるとのことです。登山初級者の方もこんなところから始めてみると心強く楽しく歩けるかもしれませんね。詳細はこちらの豊田市明和自治区ホームページで確認できますので参照してください。

これからの季節は空気が澄んで寧比曽岳からの展望をますます期待できる季節になります。愛知県内でも有数の展望が楽しめる寧比曽岳、お出かけしてみてはいかがでしょうか。

管理人山行日 2024年9月23日
伊勢神峠登山口駐車場発 8:50
伊勢神峠登山口駐車場戻り 16:45

 

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